秋が深まってくると本格的なパーティーシーズン到来。みなさんのお店ではどんな準備をされていますか?
今月は、パーティーシーンを「美味しく演出」する、様々なポイントをご紹介します。
お客さまの心をつかむ工夫・アイディアとは...
秋が深まるとそろそろ本格的なパーティーシーズンに突入します。
ウェディング、受賞パーティー、忘年会にクリスマス、最後に年越しパーティー。そして年が明ければお正月の集まりに新年会、歓送迎会。
いつもご来店いただいていないお客さまもパーティーにはいらっしゃるので、新規顧客の開拓チャンスでもあります。
この時期にしっかりとお客さまの心をつかみましょう。
パーティーの種類
一口にパーティーと言っても、その種類は様々。
正式なパーティーは正餐といわれる「ディナーパーティー」です。これは結婚式のお集まりなどのことで、ホテルやレストランで着席しての食事になります。フランス料理のフルコースなら料理はまず食欲を起こさせるオードブルで始まり、お魚料理、お肉料理と徐々に重いものになります。最後は甘いデザートですが、お肉の前にお口直しのシャーベットが入ったり、デザートの前にチーズが出たりとバリエーションがあります。
気軽なパーティーなら「ビュッフェスタイル」がポピュラーですね。通常は立食形式のもので、人数の多い場合や参加時間を限定しにくい場合に利用されます。
ビュッフェスタイルは、多人数分の料理を一つの容器に盛り付け、お客さまに自由にとっていただくものですから、サービススタッフの人数も少なめで対応できます。
これと似たものに「バイキング形式」、正式には「スモーガスボード」というものがあります。
お客さまが自由に料理を選んで取り分けるのは同様ですが、立食ではなく着席になります。ホテルの朝食などでよく見るタイプですね。海外のホテルだと卵料理をお客さまの好みに合わせて作ったり、パンケーキやワッフルを注文に応じて焼くサービスもあります。
これら以外には「カクテルパーティー」「アフターヌーンティー」、アウトドアの「バーベキューパーティー」などがあります。テラスや庭のあるお店では、シチュエーションやシーンにも特色を持たせたパーティー演出も可能です。
工夫次第でお客さまに色々なご提案ができるのもパーティーの特徴です。
美味しいパーティーメニュー
楽しいおしゃべりやちょっとしたエンターテイメントなど、パーティーを盛り上げる要素はたくさんあります。最近はテーブルマジックなども人気です。ワクワクしたりドキドキしたりの経験は、快感の記憶を残します。
しかし、パーティーという以上欠かせないのは「美味しい料理」です。この部分が不足すると満足感の得られない、単なる時間つぶしになりかねません。
ただし、必要なのは「食べ物」ではなく「美味しい料理」。お客さまに満足していただくためには、この部分での効果的な「演出」が重要になります。
ではどのような演出をしたらよいの?
美味しさを決定する要素は広範で複雑。美味しさを感じるのは単純に「味覚」や「味」だけではなく、「味覚」「嗅覚」「視覚」「聴覚」「触覚」の五感すべて。
その中で特に大切なものは、食べる前に「美味しそう!」「うわぁ素敵!」と感じさせる「視覚」と「嗅覚」です。
「人は見た目が9割」という本が売れていますが、料理も第一印象がとても大切。見た瞬間に「美味しいそう」と感じてもらえれば、その料理は格段に美味しくなります。

美味しさの演出<その1> 色彩
視覚によってまず印象づけられるのは、色彩です。一枚の皿の上、一つのテーブルの上の「彩りの取り合わせ」が重要です。
心理学的に「赤」は食欲を起こさせる色合い、牛肉の赤い色も、サラダの中のトマト一切れも料理をおいしく華やかに印象づけます。
「赤」は太陽の色、全ての命の源の色です。だからエネルギッシュな興奮色、攻撃色でもあります。生き生きとした「生命」の色は、食欲を喚起します。「赤」を効果的に配色すると、それだけで料理は美味しく見えてきます。
この赤を引き立てるのが「緑」色です。太陽の光を受けてエネルギーとなる糖をつくり出す植物の葉の色。ですから「赤」に対するカラーコーディネートとしては、当然「緑」色を使います。葉もの野菜などの緑はもちろんですが、あしらいにそっと添える小さな緑色も効果的です。しかしパセリやミントでは手あかのついた演出。こんな場合は、なじみの野菜のレアな品種(ex.サボイキャベツ)や手に入りにくい珍しいハーブ(ex.斑入りのミント)などで印象づけます。
例えば洋風しゃぶしゃぶなどには、赤い牛肉の上に若緑色のフレッシュローリエをのせてみるとか。「視覚的な美しさ」を強調しましょう。もちろんローリエはお鍋の中に入れて使えます。
美味しさの演出<その2> デザイン
「色」の次はデザイン。三角形や・四角などシンプルな幾何学模様のデザインは食べ物をすっきりとスマートに見せますが、暖かさを感じにくくもさせます。そんな時には自然物の持つ丸みや曲線を利用します。やわらかなラインはそれだけで安心感をもたらすデザイン。赤ちゃんやぬいぐるみのかわいらしさ、思わず触れたくなる感情は、それらの「丸み」が引き起こすものです。こちらに危害を与えない、決して攻撃してこない、究極の安全を表現しているのです。
食べ物にとっても「安心感」は重要。食べたら危険かもしれないという不安感は、生命の危険を避ける本能によって食べないという選択をさせます。つまりそのようなデザインは食べ物を確実に「不味く」感じさせるのです。丸みを帯びた安定したデザインを上手に工夫して、料理や食べ物の美味しさを演出する盛り付けをして下さい。
大皿や銀盆に盛りつける時には、とりやすさ、食べやすさも美味しさの要素になります。取りやすい大きさや、トッピングなどの落ちにくさ、垂れないソースやドレッシングの工夫も必要になります。手前の料理は低く、取りにくい後ろのものはやや高くといった、空間を活かした立体感のある盛り付け方もデザインの一つです。
スペイン料理のピンチョス、日本の焼き鳥や田楽に見られる串を使ったものなどは、食べやすさを配慮した、先仕込みの手間のかからない料理で、ビュッフェ形式にもってこいです。
また、食べ物は「ボリューム」ということも考慮しなければなりません。この時大切なのは、単にたくさんあれば良いという感覚ではないということ。見た目に美しく、どれにしようかと迷う楽しさ、選ぶ面白さを「量」とともに演出しましょう。
お皿の上の料理のボリュームは、平面で考えるのではなく、三次元の空間を活かしてつくります。一人ずつの料理ならやや少なめに上品に、大皿や銀盆盛りならある種の目一杯感を大切にして下さい。ビュッフェにおいて和食のような上品な盛り付けは寂しさを感じさせ、たっぷりと十分に食べられるという満足感を提供できません。
美味しさの演出<その3> 香り
レストランに入ったとき、「あー、いい匂い!」と感じ、お腹が鳴ったことはありませんか?
良い匂いはそれだけで食欲を増進させます。肉の焼ける匂い、しょうゆの香ばしさ、デザートの甘い香りなど、食べたい気持ちを強く感じさせます。漂う匂いで料理への期待感が高まり、「美味しそう」という感情が引き起こされます。
良い香りは消化液の分泌を促し、胃腸のぜん動運動を活発化させます。食べる準備が身体的に整うわけです。でしたらこれを上手に利用しましょう。
ビュッフェだからといって、全ての料理がはじめから並んでいる必要はありません。クッキングというパフォーマンスを楽しんでいただきましょう。目の前で調理人がつくり、でき上がっていく過程を見ていただきながら、良い匂いに食欲を刺激され、そのうえできたての料理を味わえるのは、この上ない贅沢です。
何か一品でもお客さまの前で実際に調理する。生ハムやローストビーフを切り分けて、盛り付けてもらえるだけでもうれしいものです。より楽しんでいただきたい、もっと喜んでいただきたいというホスピタリティーを直接お客さまに感じ取っていただきましょう。
最後に...「美味しさの演出」は尽きることがありません。ここに書かれたこと以外にもたくさんあるでしょう。それぞれのお店のコンセプトやイベントにあった演出、お客様のニーズ・ウォンツ、利用目的にあったオリジナルパフォーマンスを工夫なさってみて下さい。美味しい料理を十分に美味しく楽しんでいただくことは、お客さまの幸福であり、結果的に経営サイドのメリットでもあるのです。
(文/井田ようこ)