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特集

旬感覚!いちごを使いこなす

スイーツの代表的な果物"いちご"。歴史は意外に古く、石器時代には野生種が既に食されていたとか。栽培品種はそれからずい分経った江戸末期にオランダから伝わりましたが定着せず、一般的になったのは1900年以降。まだ100年ほどしか経っていませんが、今や生食用いちごの生産量は日本が世界一!様々な新品種も続々と市場にでてきています。
これからいちごが主役になるシーズン到来です。より深くいちごを知って、今年は一味違うアイディアでフェア・メニューに彩を添えてみませんか?

「どんな果実が好きですか?」と質問をすると、多くの日本人が"いちご"と答えます。小さな子供からお年寄りまで、嫌いな人はほとんどいません。なんと日本人の生食用いちご消費量は「世界一」なのです。
円錐形の小さくて赤い実という見た目の可愛らしさ、ジューシーで甘く、程よい酸味という味を日本人は好むのでしょう。特に洋菓子においてはシンボリックで欠かすことのできない素材であり、「視覚」「味覚」ともに識別度の高い食品です。

いちごの選び方と保存方法
 ヘタの緑色が濃くてしっかりとしているもの、果肉は均一に赤く色付いてツヤのあるもの、種(ツブツブ)が立っているものが良品です。パックの底を見て、潰れていないものを選びましょう。水洗いすると早く痛みます。保存するときはヘタをつけたまま洗わずに、乾燥を防いで冷蔵庫にいれます。いずれにしても、早く利用することを心がけてください。
使いきれずに残ったり、潰れたりしたものは、水洗いしてからヘタをとって冷凍しておくとジャムやピュレにして利用できます。

いちごの品種
 とよのか(豊の香)、とちおとめ(栃乙女)、章姫(あきひめ)、女峰(にょほう)、はるのか、アイベリー、さちのか、アスカルビー、とちひめ、レッドパール、あまおう、紅ほっぺ(べにほっぺ)、麗紅(れいこう)、宝交早生(ほうこうわせ)、アスカウェイブ、きたえくぼ、ペチカ、サマーベリー、ふさの香。
 いちごの品種は、ざっとあげただけでもこの程度あります。
聞いたことのない名前もあるでしょうが、これはいちごという作物の特性によるもの。果皮が薄く痛みやすいため、遠くの市場までの輸送には耐えられません。よって近郊農業の作物として栽培され、その土地にあった品種が出回っています。"地産地消"の代表格です。しかし近年は輸送や日持ちの良さを求めて果肉が固く、痛みにくい品種が多くなっています。また消費者の好みから、酸味の少ない甘くて大粒なものも増えています。

いちご

出回り時期と旬
 クリスマス時期に一番需要が高くなるため、本来は初夏のフルーツであるいちごも最近ではすっかり冬の食べ物になってしまいました。現在では旬は2月から3月になっています。
出回り時期は促成栽培、普通栽培、抑制栽培と生育方法も進歩したため、国産のいちごが手に入らないのは7月中旬から10月までぐらい。促成栽培によるハウスものが11月〜3月、普通栽培の露地ものは4月〜5月、東北地方や北海道産の抑制栽培ものが6月〜7月に出荷されます。
わずかな出回らない時期にもケーキ店にいちごを使った商品が並ぶのは輸入物のお陰です。
端境期にはカリフォルニア、チリ、オーストラリアなどから輸入されています。カリフォルニアの代表的な品種はカマロッサやディアマンテ等ですが、これらは大学品種と呼ばれるもので日本への輸出は多くはありません。日本への輸出用は専売品種が大半で、日本のニーズにマッチするよう生産者や輸出業者が独自に開発して栽培したものです。(それでも大粒過ぎるのと、種が黒くて大きいのは難点ですが...)

いちごの栄養価
ビタミンとミネラルが豊富です。その他食物繊維や最近話題の「ファイトケミカル」も含んでいます。近頃はアンバランスな食生活による「潜在性ビタミン欠乏症」が大きな問題となってきていますから、果実を食べることはとても大切です。

ビタミンC
いちごにビタミンCが多いことは、よく知られてきました。Mサイズのオレンジ1個より、いちご100g(ほぼ1/3パック)の方が多いのです。
いちごにおけるビタミンC含有量は100g(Mサイズ10粒程度)で約80mg。
必要所要量は成人で100mg/日ですから、12〜3粒食べれば1日の必要量を摂取できます。また、加熱で破壊され易いビタミンCも、生で食べることによって十分に供給されます。
ビタミンCは抗酸化作用が強く体内の活性酸素を無毒化しコレステロールを減少させる、生活習慣病の予防には不可欠の栄養素。他にも、免疫力を強化して風邪を引きにくくしたり、コラーゲン生成を助け美肌・美白にする効果、目の充血を改善するなど、健康だけでなく美容効果も期待できる、多機能栄養素です。

葉酸
葉酸はビタミンBの一種です。DNAの合成や細胞分裂、正常な造血作用にとって重要な成分。また成長や正常な妊娠の維持に必要とされます。胎児の先天性神経間欠損症の抑制や心臓血管疾患や脳卒中の予防に役立つと言われています。
効能としてあげられるのは、悪性貧血の予防、動脈硬化予防、DNA合成、細胞分化・修正の促進など。

カリウム
ミネラルの中でも特にカリウムは血圧の低下に寄与します。高血圧は、脳血管障害や心疾患のみならず、動脈硬化や糖尿病の原因となります。血圧を上昇させる主な原因は食塩のナトリウム。 健康のためには減塩することが大切といわれながら、日本人の食塩摂取量は未だに12〜13g/日。厚生労働省のいう10g/日まで、なかなか低下しません。外食やコンビニ弁当により若い人ほど濃厚な味を好み、食塩摂取量が多くなっています。またうまみ調味料を筆頭に様々な食品添加物に含まれるナトリウムも無視できません。ナトリウムは体に不可欠の成分ですが、血圧上昇因子でもあります。カリウムはナトリウムの排出を促進し、「諸悪の根源」ともいえる高血圧の予防効果のある、大切なミネラルです。

食物繊維(ダイエタリーファイバー)
食物繊維が大腸癌を予防するという説は否定されましたが、それでも健康の維持に欠かせない成分です。食物繊維を摂取すると、余分な脂肪の吸収が抑制され肥満の防止に役立ちます。また、有害な科学物質や重金属の排出を促進します。もちろん便秘の予防にも効果あり。腸内環境を改善し、デトックスにも役立つのが食物繊維です。

ファイトケミカル(Phytochemical)
従来から知られている栄養素以外にも"健康に良い成分"というものがあります。食品に含まれる抗酸化物質と、ファイトケミカルを呼ばれるものがそれにあたります。
ファイトケミカルのファイトは「植物性」という意味で、ファイトケミカルを日本語にすると「植物性化学物質」になります。
この物質が注目を集めているのは、ガン予防の切り札になる可能性があるとされたからです。糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルで5大栄養素。6番目は食物繊維で、ファイトケミカルは第7の栄養素と目されています。
ファイトケミカルは植物の色素、香り、アクなどです。中でも重要なのが色素ですが、色素は紫外線から植物自身を守っています。その色素が人の体も守ってくれるのです。
いちごの色素は、フラボノイドやアントシアニンです。アントシアニンはブルーベリーや茄子などにも含まれている水溶性の色素で、pHによって発色が変化します。酸性では赤、アルカリ性で青になります。イチゴの酸味はクエン酸ですが、これによっていちごは赤くなるわけです。


いちごの利用方法
洋菓子に欠かせない食材であることは当然として、そのままおやつやデザートにも利用しやすい食材です。加熱加工してジャムやソースを手作りするのも簡単です。
しかもいちごはスイーツばかりでなく料理にも重宝する素材。手軽に使うのであればサラダのドレッシングやカルパッチョ用のソースがおすすめです。

◇ホームメイドのいちごジャム◇
材料:
いちご(洗ってヘタをとったもの) ...500g
グラニュー糖 ...250g
蜂蜜 ...50g
レモン汁 ...30cc 作り方:
1. いちごを鍋に入れ、グラニュー糖をまぶしてホイッパーで潰す。
2. 鍋を中火にかけ、沸騰したらあくを引き、蜂蜜を加えて弱火で少し煮詰める。
3. 火を止めてレモン汁を加え、混ぜ合わせる。
4. 煮沸消毒して乾燥させた瓶などに、熱いままのジャムを入れて、きっちりと蓋をする。(瓶が割れないよう耐熱の瓶を使用すること) 常温まで冷めたら冷蔵庫で保存して下さい。しばらくは日持ちします。

固くなってしまったらキルシュかいちごのリキュール少々とシロップで薄めれば、そのままスイーツ用のソースとしても使えます。アイスクリームやパンケーキ、ワッフル、クレープ、トーストなど、自由にアイディアを活かして使って下さい。


◇サラダ用のソース◇
材料:
いちご(洗ってヘタをとったもの) ...100g
サラダオイル ...大1
レモン汁 ...大1
塩・胡椒 ...適量 1. いちご、サラダオイル、レモン汁をコップ状のものにいれ、スティックミキサーで粉砕・乳化させる。
2. やや目の荒いストレーナー等で裏ごして種の量を減らす。
3. 塩・胡椒で軽く調味する。 キャベツや白菜、胡瓜、茹でたブロッコリーなど、彩り良く盛ったサラダにかけて下さい。

ピンク色のきれいなソース(ドレッシング)です。油をほとんど使わないため、さっぱりとした口当たりでヘルシー。いちごの香りが春を感じさせます。

いちごのデザート

他にもバルサミコと併せても美味しくいただけますし、パスタやリゾットなどもOK!魚介類との相性も悪くありません。
これは学問的にはいちごが草本植物で、野菜に分類されるからでしょうか。

少々雑学に脱線しますが、野菜生産出荷統計(農林水産省)では「一般に、野菜とは食用に供し得る草本性の植物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるもの」とし、いちごは西瓜やメロンとともに「果実的野菜」に。
これと異なり、農林水産省の青果物卸売市場調査報告統計では、いちごは「果物」とされています。この理由はかつて出荷先が主に果物店であったことに由来しています。日本食品標準成分表(文部科学省)でもいちごは果物に、成分表を基礎としている国民栄養調査(厚生労働省)でも果物です。
「いったいどっちなんだ?」と思いますが、生産現場に近い園芸学ではいちごは"野菜"、流通関係や消費者の生活感覚をもとにした分類では"果物"ということになるようです。

独自性・差別化がキーワード
ファミリーレストランなど大手チェーンやコンビニエンスストアでも一昔前とは異なり、本格的な商品が提供され、これまで個人店・専門店が得意としていた部分も安泰ではなくなってきています。
美味しいことは当たり前、うちの店でしかだせない"独自性"、他店との"差別化"がこれからの経営の鍵となります。
「うちの人気商品は定番のこれだから変える必要はない!」ではなく、さりげなく時の流行を取り入れ、ブラッシュアップしていく必要があるのです。
シーズン到来のいちご、人気の高い食材を今年はどのように"料理"しますか?
いちごを使ったケーキ
(文/井田ようこ)








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