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特集

人が集まる不思議-世界の屋台-

そろそろお祭りが各地で行われるシーズンになりました。お祭りと言えば屋台。たくさんの屋台が立ち並ぶ様を見ると、自然とウキウキとした気持ちになりますよね。各国の屋台もこれ同じ。なぜ人が屋台に集まるのか...
今月のテーマは-各国の屋台-です

夏本番となりビアガーデンで仲間とわいわいビールを、なんていうシーンが増える季節。
ビアガーデンや屋台など外の風を感じての飲食はなんともいえない開放感と高揚感があり、時と場所が変わっても万人に通じる普遍の魅力をもっています。
そろそろお祭りも各地で行われます。たくさんの屋台が立ち並ぶ光景は壮観です。

皆さんは屋台といえばまず何を連想されるでしょうか。
前出のお祭りでいえば、たこ焼きや焼きそば、綿菓子、磯辺焼など、日本の代表的な屋台のスタイルでしょうか。
チャルメラを鳴らしながら夜の街を流す移動式屋台のラーメン屋を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。他にもお酒類におでん、焼き鳥やどて焼きなど様々な料理を出して営業するちょい飲み屋台や、一世を風靡したそうした屋台村かもしれません。
屋台特有の雰囲気は日本の文化に根付いており、郷愁とあいまって屋台に心誘われるファンは今も多いことでしょう。

日本の屋台
日本で屋台が登場し、繁栄したのは江戸時代と言われています。
肩などに担いで移動しながら商う「そば」に代表される「振り売り」形式の屋台と、仮設店舗を組立てて移動せずに商う「すし」に代表される「立ち売り」形式の屋台の二通りで、いずれも車輪がついていない「据え置き型」でした。今の車付屋台の登場は昭和になってから。
現代の屋台スタイルは戦後闇市に登場したものです。
屋台全盛期から一転、町から姿を消したのは、食品衛生法、道路交通法の規制と東京オリンピックを契機に戦後色と非衛生的なものを一掃しようという国策によるもの。
日本の屋台のメッカ博多(福岡)はこの規制を受けた際、組合を組織して活動し、既得益権を勝ち取り、現在にその姿をとどめているのです。

福岡には中洲・天神・長浜地区など、屋台街と呼ばれる屋台が集合して商売する場所が存在します。
博多の屋台は毎日決まった場所で営業していますが、昼は月極駐車場等に置いてあり、夜になると「引き屋」と呼ばれる人が引いて決まった場所へ移動するそうです。
近隣のビルと契約して電気も供給しており、ラジオやテレビを流す店も多くみられます。
博多名物であるラーメンの他にもおでん、焼き鳥、鉄板焼き、天ぷらといった豊富なメニューを掲げる店も多く、これらのメニューをつまみに酒を飲み、最後にラーメンで〆るというのが博多の定番屋台スタイル。
その他にも博多の屋台には変り種が...カクテル専門・西洋料理専門・沖縄料理専門など店主の好みによって独自メニュー開発を行なって新たな形態を打ち出す屋台も登場しています。博多の屋台は実に奥が深いですね。

日本の屋台

さて、現代版屋台として登場したのは、東京丸の内近郊をはじめとするネオ屋台。従来の「屋台」に対して、カラフルなワゴン車でエスニック系のランチなどを販売する移動販売車です。
ネオ屋台は移動車両による昼間の弁当販売の形態で、東南アジアの屋台スタイルを模倣したエスニック料理が多くみられます。
従来の屋台と比較すると清潔感を全面に押し出しており、これまでの屋台とは一線を画したスタイルの屋台が女性にも人気を博しています。

東アジアの屋台
■韓国編
韓国では屋台はポジャンマチャ(幌馬車)と呼ばれています。
登場したのは1950年代初期だそうで、当時は綿の布切れを屋根にして焼酎や焼き鳥を売っているだけの至ってシンプルなもの。その後、中州にあるような屋台のスタイルが登場し、庶民の絶大な人気を獲得しました。
元々は前出のように、夜、お酒やおつまみを売る簡易居酒屋のことをポジャンマチャ(幌馬車)としていましたが、その後登場した昼間からトッポッキなどを売る露店も同じ名前で呼ばれるようになったとか。
韓国の屋台も日本のそれ同様、進化を続けているようで、室内にあり衛生的な「室内ポジャンマチャ」、昼間はカーセンター(自動車整備工場)夜になると突如、居酒屋に変身する「カーセンターポジャンマチャ」などがお目見えしています。
韓流ドラマにもよく登場する屋台、代表的な屋台メニューをリストアップしてみました。

<代表的な屋台メニュー>
・ホットッ
  蜂蜜やゴマ入りの韓国のおやき
・トッポギ
  棒状のトック(韓国餅)を、コチュジャンを使って甘辛く炒めたもの
・おでん
  魚の練り物をくしに刺し煮たもの
・ティギム
  サツマイモ、にんじん、ギョウザ、イカなどの野菜、肉類の天ぷら
・タッコチ
  一口大に切った鶏肉を串刺しにし、甘辛いたれをつけて香ばしく焼いた韓国風焼き鳥
・スンデ
  豚の腸に豚の血と野菜や肉などをつめたソーセージ
・マンドゥ
  いわゆる焼き餃子
・スルメ
  10種類以上のスルメがあるとか...韓国では映画を見ながらスルメはポピュラーなスタイルだそう
・トストゥ
  バターをたっぷり敷いた鉄板で焼いたスライス食パンに、ほのかに甘味のある野菜入りの卵焼きを挟んでケチャップをかけたホットサンド
・ポンテギ
  蚕のさなぎを茹でたもので、独特の味がビールのつまみなどによく合います
・キムパプ
  見た目は日本の海苔巻き、白飯にごま油やゴマ、それに塩がまぶしてあり、具にはほうれん草、錦糸玉子、キムチ、タクワンなど

■台湾編
台湾食文化の源は屋台にありといわれるほど、屋台が生活に根付いている台湾。朝昼晩3食を屋台ですます人も少なくないとか。
早朝から深夜まで様々な屋台が町に立ち並び、中でも夜市は観光の目玉にもなっています。
夜市には60円〜200円程度の商品が並び、店それぞれ独自の味付けで常連客を惹きつけています。
朝屋台はいわゆるモーニングに対応した軽食や飲み物が主体、夜市では麺類、揚げ物、炒め物、たこ焼き、かき氷、カットフルーツ、刺身、寿司など、多様な食品がズラリと並びます。
台湾では現代化にともない、都市景観、道路事情の観点から対策を...と政治的な動きもあるようです。丁度オリンピック時の日本のような状況でしょうか。
消費者の視点でいえば、古き良き文化を残して欲しい気がします。

台湾の屋台

■中国編
中国は、経済条件の制限と伝統的習慣の影響によって、以前は中国人はあまり外食という習慣を持たなかったようですが、近年来、屋台の食べ物は人々、特に若者の人気を集めています。核家族化が進み、朝の食事は、大半の家庭では屋台の食事ですますことも多くなっているとか。
中国の屋台は、品数も豊富で値段も安いため、一般的な家庭でも気軽に利用できるのが特徴です。
形態は台湾のそれと似たものですが、広大な中国、売る商品は地域によって異なります。
北京街道の夜店でよくみかけられる商品は天津煎餅、焼き芋、ゆでトウモロコシ、甘栗など。
「焼き芋」といえば、日本の焼き芋屋さん、よく考えてみればネオ屋台の走りですよね。(笑)

東南アジアの屋台
東南アジアの屋台は、個店がつくるショッピングモールというイメージでしょうか。 特別な催しや時間帯によって登場する他国の屋台と比較すると、より地域の生活に密着した、必要不可欠な存在と言えるのではないでしょうか。 持ち帰りだけでなく、簡易テーブルと椅子を用意し、本格的な料理を提供する店も少なくなく、屋台の生存競争は結構厳しいようです。そのせいか、安価で美味しいお店も多いとか。

アメリカの屋台
アメリカでは屋台はストリート・ベンダーと呼ばれ、主に軽食・スナック類を扱った店が多いようです。 ニューヨークでは街の至る所に各国の食品店やストリート・ベンダー(屋台)があり、またその直ぐとなりにちょっとお洒落なカフェやレストラン・バーが普通に共存しています。 何でもありがアメリカらしいところでしょうか。 メニューは基本的にはホットドッグ、ポップコーン、タコスといったアメリカらしい商品が主流ですが、多国籍、世界のファーストフードが何でもあるのでは?と思わせる品揃えが特徴です。

■ドイツ編
ドイツと言えば「ソーセージ」。街角や駅構内などにはソーセージの屋台が多く見られます。プレッツェルとソーセージで軽い食事を...という利用者も多いよう。 お菓子の屋台はヨーロッパならではかもしれません。 レープクーヘンと言う、ジンジャーやスパイス入りの大型クッキーが人気のようです。 クリスマスになると4週間程クリスマスマーケットが開かれ、手作りクッキー、その他焼き菓子、クリスマスグッズの屋台などが軒を連ねます。
■フランス編
フランスの屋台ではクレープを代表とし、様々な軽食・スナックが見られます。
朝市と隣接して、レバノン料理など中東のスナック、あるいは中華の点心といった惣菜を扱う店もあります。ベルギーに端を発するゴフル、アイスクリームなど、甘味の軽食が多さとワインの屋台などがフランス屋台の特徴でしょうか。
1970年台に日本に上陸したクレープブームですが、フランスの屋台スタイルを持ってきたとか。
映画などで目にする冬季の焼き栗や焼きとうもろこしの屋台はモンマルトルやメニルモンタンなどパリ北東部の庶民的地区の風物詩です。
ドイツと同じく、クリスマスシーズンになるとノエル(クリスマスイベント)が開かれ、広場に市場が開設され、様々な屋台が立ち並びます。お菓子やクリスマスグッズなど、クリスマスを彩る商品がずらりと並ぶそうです。
ドイツ・ベルギー・フランスは同文化圏にあるので類似点が多いようです。

ヨーロッパの屋台

屋台に学ぶお店の哲学
扱う商品にこそ地域による差はありますが、世界各国において屋台の文化は相通じるものがあります。
必要な時に、必要な場所で、食べ物を作り提供するという、外食文化の本質が屋台では表現されているからなのでしょう。

 ◆敷居が低く手軽に食べられる手頃感
 ◆気が付けば生活の傍らに存在する利便性
 ◆目の前で調理される演出・臨場感、食欲をかきたてる匂い
 ◆つくりたての美味しさ
 ◆その地の食文化を代表するメニュー
 ◆流行をいち早く取り入れられるシンプルさ

屋台を見つめなおした時、飲食店経営への学びやヒントが随所に散りばめられていませんか?

(文/熱田大)








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