早いもので2007年も残すところあと1か月。
今年も<仕事>と称して、たくさんのスイーツを食べました!今年出会ったスイーツたちを思い出しながら2007年を振り返り、来年の傾向を考えてみたいと思います。
日本人の嗜好に合う塩スイーツ

2007年話題となったスイーツの筆頭は、なんといっても「塩スイーツ」です。
2002年からじわじわと話題に上っていましたが、今年にはいってからも勢いは止まらず、クッキーやシュークリーム、チョコレートやジェラートなど、急速にアイテムに広がりをみせ、コンビニに並ぶお菓子にも「塩味スイーツ」が多く見受けられるようになりました。
なぜ、これほどまでに塩スイーツ人気に火がついたのでしょう。
塩スイーツ人気の火付け役となったのが、フランス・ブルターニュ地方のキャラメリエ、アンリ・ルルー氏が作る【塩バターキャラメル】というのはもう有名な話。濃厚な甘味をまろやかな塩のしょっぱさが引き立てる大人の味のキャラメルは、一度食べたらやみつきになる美味しさで、フランスはもちろん世界中のスイーツファンを魅了してやみません。毎年「サロン・ド・ショコラ」ではルルー氏のコーナーには大行列ができるほどの人気商品で、今年の5月にはついに、海外初出店となる「HENRI LE ROUX」が伊勢丹新宿店にオープンされました。
フランスでは塩を必要とする菓子はあまりないといわれますが、ブルターニュ地方は例外で、特産の「ゲランドの塩」をつかったスイーツが数多く存在します。ゲランドの塩は、ミネラルを多く含み、マイルドな味わいで、日本の塩に比べてとがった塩辛さがないため、洋菓子に使いやすいのだそうです。
2002年4月に日本での塩の製造と輸入販売が完全に自由化されたことも、ヒットの背景にあります。「ゲランドの塩」を筆頭にシチリア産、ボリビア産などのスイーツに合うヨーロッパ産の岩塩などの輸入品が増え、一気に市場が拡大しました。これらの天然塩は、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を多く含むため、健康や美容にいいというイメージが昨今の健康志向とマッチして、塩のブームに拍車をかけました。
しかし、塩スイーツ人気の一番の理由は、なんといっても「甘しょっぱい味」そのものにあります。
甘いスイーツにしょっぱい塩を前面に出した洋菓子は、斬新な印象も受けますが、甘さを引き立てるために塩を使うことは、和菓子の世界では昔からある手法。塩大福やみたらし団子のように、甘くてしょっぱいという味の感覚は、日本人にとってはどこか懐かしくて馴染みやすい味といえます。甘味を塩が引きしめて後味がよいため、甘いものが苦手な男性や年配の方からも幅広く受け入れられており、塩スイーツは一過性のブームにとどまらず確立したジャンルとして定着しつつあります。
見た目も価格もかわいい「100円スイーツ」

パティシエ・ブームによるスイーツの高級化が進む一方で、今年注目されたのが、小ぶりで価格も100円台と低価格を打ち出した「かわいい系」のスイーツです。
なかでも、この夏話題になったのが、神戸発の新感覚スイーツ「mochi CREAM(モチクリーム)」。
モチクリームとは、コムサストアが展開しているスイーツショップ『MOCHICREAM』で販売されているお菓子のことで、大福もちでできた皮の中にフレーバーあんと特製クリームを詰めた手のひらサイズの創作大福です。神戸、大阪、京都の関西方面では、昨年から行列のできるお菓子のお店として人気があったそうですが、全国的に有名になったのはテレビのバラエティや情報番組で紹介されたのがきっかけのようです。モチクリームの公式サイトはトップページのみで、詳細情報はいっさい見当たらないにもかかわらず、百貨店やショッピングセンターからひっぱりだこになり、東京でも、商品を扱うお店の和菓子売り場では月商トップを争うようになっているそうです。
モチクリームを実際に食べた感想は、一口目はアイスの「雪見大福」と似たような感じですが、クリームの食感がアイスとはまた一味違ったなめらかな口当たりで、くどくはないけど、濃厚なクリームが和菓子のようでいて洋菓子のようでもある、なるほど新感覚のスイーツだなあ、という感じです。餡のフレーバーもバリエーションを揃えているので、いろいろな味が楽しめ、またひとつずつ個別包装されているのでちょっとした手土産にも重宝できます。実際、私も知り合いの方にお土産でいただいたのがモチクリームを知ったきっかけで、お得意先などにもっていくと、非常に喜ばれるそうで、いわゆる"モテ系スイーツ"なのだとか。スイーツの最新情報は若い女の子に聞くのが一番と思いきや、会社族のオジ様から口コミ情報を教えていただくことになるとは思いも寄りませんでした。
モチクリームに並ぶ人気なのが、広島に本拠を置く、スティックタイプのケーキが人気の「スティック・スイーツ・ファクトリー」です。こちらも昨年から全国展開で進出してきております。
スイーツ・トレンドの新興勢力として「100円スイーツ」が今後も注目されるところです。
大型商業施設のスイーツ・ショップ

ここ数年、大都市を中心に有名高級ホテルや大型商業施設のオープンラッシュが続いています。
東京の新名所として注目を集めた東京ミッドタウンが3月にオープンしたのを筆頭に、新丸ビル、有楽町イトシアなど、都心でも再開発と絡む大型集積ビルのオープンがつづきました。
新しい複合施設がオープンされるたびに注目されるのが、その中に入っているショップです。中でも話題を集めるのがスイーツのお店で、どの施設にも有名パティシエのお店や、話題のスイーツを集めた店舗が軒を連ねています。集客力に旬のスイーツはマストアイテム。もはや大規模商業施設に欠かせない存在となっています。
しかし、一口に話題のスイーツといっても、施設のコンセプトによって、スイーツの傾向や方向性はガラリと変わってきます。
例えば"都心の上質な日常"をコンセプトにした<東京ミッドタウン>では、セレブも愛するチョコレートから極上フルーツ、そして日本での伝統文化を紹介する老舗和菓子のコンセプトショップなどを揃えて高級志向を打ち出しているのに対し、9月14日にリニューアルオープンした<プランタン銀座>では、20〜30代の働く女性をメインターゲットに「気軽に楽しめる"ライトスイーツ"」を打ち出し、カップケーキ専門店やマフィン、スコーンといった忙しいときの食事の代わりにもなるような、日常使いのスイーツを取り揃えてきています。
2008年以降も、大規模商業施設のオープンラッシュは続きます。大型商業施設に集結されるスイーツ店をチェックすることは、地域特性やトレンドの流れを読むための大きな指針となります。
多様化するスイーツトレンド
消費者のニーズが年々多様化するのに加え、有名パティシエや全国の人気スイーツショップの商品が通販でも購入が可能になってきている現在、好みが細分化してきており、はっきりとしたトレンドの傾向がつかみにくくなってきています。
また、お酒や煙草よりも甘いものが好き、という男性も一昔に比べるとはるかに多く、都内のスイーツ・ショップには男性でも入りやすい店が増えてきています。「スイーツ=若い女性が楽しむもの」という考えはもう過去の話となりつつあります。多様化に伴い、ターゲット層も広がってきているのです。
バリエーションが豊富で美味しいスイーツが揃う中から自分の好きなものを見つける、というスタイルが今後も求められていくと思います。有名パティシエの限定品といったような希少性や、行列ができるお店で買う、特定の施設まで出向いて味わうといったアミューズメント性を感じさせるスイーツが、人気スイーツにランクインし、ブームを形成していくことになるでしょう。
(文/編集部 村上睦美)