さりげないディスプレイに目を引かれたり、ほっと安らいだ気持ちになったり、ワクワクしたりしたことがあるかと思います。
お店に華や彩りを添える要素の一つとして、ディスプレイは大きな役割を果たします。
事例を見ながら、その種類や効果について考えてみましょう。
業態を訴求するディスプレイ
以前設計したお店に東京・渋谷のカレーショップがあります。
テナントビル1階の飲食店(同フロア他店舗も飲食テナント)で、三面がガラス貼りで、通路からの視認性が良すぎるぐらいの立地でした。
この事例では、ビルに入って「今日は何を食べよう?」と悩んでいるお客様の目を引くお店づくりがポイントとなりました。
お客様が性別、年代関係なく入れるような明るくカジュアルな雰囲気、他店との差別化を図るための、シンプルで洗練されたデザインを基調とし、カレーショップであること、スパイシーなものが食べたいという欲求をくすぐる仕掛けとして、ガラスの器に何十種類というスパイスをディスプレイしています。< br>
客席、通路両方向から視認できる位置に設置し、本格的なカレーが提供されるイメージを入店前、食べている時に感じてもらえます。
もちろん、「見せる」収納ですので、ただ、食材や器具を置くのはNGです。参考時には気を付けてください。
メニューでレトロ感を演出
こちらは東京・一之江にあるレストランです。
駅前テナントビル2階の一番奥まった位置にあります。ビルに入ってからこのお店に辿り着くまでに、飲食店が林立しているので、奥まで引き込む個性づくりがポイントでした。
お店のコンセプトは「昭和レトロ」で、インテリアやメニューもレトロな雰囲気を意識してつくられています。
ここでは、メニュー自体をディスプレイの1要素として考え、写真ではなく、あえて手描きのポスターメニューを配しました。(現場で描かれています)
メニューと言えば、手元メニューか黒板メニューなどに頭が行き、ポスターというとチェーン店のフェアメニューなどのイメージが強く、なかなかディスプレイとしての利用を思いつかないかもしれませんが、味のある手描きポスターはお店に懐かしさや手づくり感を付与する効果を持っています。
ディプレイ"見せる"を考えたショップデザイン
こちらのお店は東京・浅草にあるビストロです。
土地柄、昔ながらの地元の仲間が集まる気の置けなさと、本格フレンチとしての格を両立させるのがポイントでした。
ファサードはカフェ風の開放的な使い方、ディナータイムの落ち着いた小空間づくりの両立ができるような工夫をしています。
キッチンはオープンにし、いつもの仲間が来たらシェフが笑顔で直接お迎えできますし、目に入る本格的な調理器具は、シズル感をそそります。
また、先代まで酒屋をしていたということもあり、こだわりのワインをどのように見せるかも一つのテーマでした。
店内、どこからでも見える位置にワインセラーを置き、商品であるワインがディスプレイとしての効果も発揮しています。
定番"フラワーアレンジ"
季節感の演出にかかせないのが"花"。
お客さまをお迎えする、様々場所で目にします。
テーブルの一輪挿しから、豪華な活けこみなど様々ですが、お店で頭を悩ませるのが、メンテナンス。
せっかく、お客さまをお迎えするための花が枯れていたりしては逆効果。とはいえ、開店前の忙しい時間に、水替えや花や葉のチェックは一仕事です。
そこで、一つの選択肢として、プリザーブドフラワーというものがあります。植物の樹液を有機保存液と置き換える特殊な技術で、花の組織を完全に保ちながら長期保存が可能な状態にしたものです。
ほこりを空気で飛ばす程度で、基本的に毎日の水やりなどの手入れは不要。湿気と直射日光に弱く、エアコンの風を直接あてるなどは劣化を早めるので、これらに気をつけ、乱暴な扱いをしなければ、長期間(1〜2年程度)状態を保持することができます。
ここ数年で、プリザーブドフラワーもポピュラーになり、身近なところでオーダーでの制作も行ってもらえます。
私も、設計に携わった店舗のオープン時の祝花として、お店のイメージに合ったプリザーブドフラワーをオーダーし、度々贈っています。
リースも作れますので、クリスマスや正月などのシーズンディスプレイにも重宝します。
これらのほかにもディスプレイには、様々な種類・手法があります。
飲食店はもとより、デパートや雑貨店、服飾店舗など、異業態が行っているアイディアも参考になります。
お店のイメージアップ、シーズンの訴求など、自店で使えるディスプレイのアイディア、意識しながら町を散策されてはいかがでしょうか。
(文/一級建築士 石井寿人)
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