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2009年-ヒット業態考-

2009年2月 1日 18:53

年末年始に異常に耳についた言葉は「派遣切り」
別に今に始まったことではなく、リストラという言葉が出た当時でも、正社員よりも先にパート・アルバイト、派遣社員、契約社員の人員整理時に真っ先に対象となっていたのですが、2008年はその数が相当顕著になったのでしょう。
100年に一度の経済恐慌、派遣切り、税負担増など、消費者の経済的な不安感はまだ当分解消される兆しはありません。
こうした世相の中で、消費者の財布は一段と固くなるのは必然です。
既に、2008年から外食を控える、外食費を低く抑える傾向は強くなっています。
その中でのヒット業態...難題であります。

"圧倒的"な安さの吸引力

競合他店と価格面で差別化を図るにあたり、10円や20円の差異を消費者が認識できるかというのは難しいところです。
わかりやすい商品、例えばコーヒー1杯、ビール1杯、ハンバーガー1個、ドーナツ1個であれば「こっちのほうが安い」と比較購買できますが、料理の場合はなかなかそうは行きません。
常識を破るぐらいの圧倒的な値づけでないと「凄い!安い!」と思わないのです。
もしくはどんなに食べてもこれだけ!と言った、安心していくらでも食べられるような値づけ。
2009年のヒット業態に「安さ」は欠かせない要素であることは間違いありません。
さて、ただ「安さ」をやみくもに追求しても消費者には伝わりにくいもの。
"これだけの素材が""これだけのボリュームで""これだけの手間をかけて"という基準が必要です。
「これだけ」の部分が本質的な"差別化要素"となります。
自店独自の仕入れ、調理法、ロス対策という戦術のもと、実現していかなければなりません。

これまでの不況時と違うのは、いわゆるヒエラルキーの上層である高所得者層も財布の引き締めを意識し始めたこと。
2009年はいくらいいものでも、"お値打ち"の訴求は必要不可欠となるでしょう。

"女性を意識"の意味

女性は不思議な生き物です。
景気が悪いと言えば、すぐに節約しなくちゃ...と行動するのですが、その一方、節約するのに必要なものは...節約したんだからこれくらい...と消費行動をすぐにストップさせはしません。
エコバックやお弁当箱などの売上げは相当なものだったのではないでしょうか。
女性の社会進出に伴い、女性を意識したマーケティングが広まりましたが、引き続き、この流れに変わりは生じないと考えます。
新しいもの、美味しいものの探求は女性のほうが貪欲です。
トレンド業態であれば、女性が「あっ」と思う商品やサービスがヒットすることでしょう。
一方、女性を意識しすぎると、安定売上を望める男性客離れが始まる業態もあります。といって、男性客の消費縮小が現実となった今、女性客増による売上確保も図らなくてはなりません。
男性客中心の業態であっても、女性が入りやすいか、居心地が悪くないかは最低限配慮すべきでしょう。

素材×郷土

業態軸であり、商品軸とも言えますが、色々なものが食べられるというニーズの対抗として、○○産の○○が食べられるという専門性の高い業態も人気を集めています。
この背景には、「何を食べさせられているのかわからない」といった昨今の食に対する不安感・不信感があると思います。
もうひとつには、和食回帰の流れの中で、地方の様々な食を提供する店舗が登場し、知らなかった日本食との出会いが新鮮な感動を呼んだのではないでしょうか。 これはまだ当分の間、続くブームでしょう。

低投資業態・高収益率業態

ここまで消費者視点でお話してきましたが、経済的な不安は消費者だけのことではなく、経営する側も同じです。
1坪〜5坪程度でできるコンパクト業態の出店が2008年から特に顕著になっています。席数に縛られないテイクアウトや移動販売などのフランチャイズチェーンも増えてきています。
また、原価率や人件費率を低く抑えられる専門商材への注目も高まるでしょう。
これらはヒットというより、数多く出てくるだろうと予測される業態です。
コンセプトや商品、価格等は前述のポイントを充足する必要がありますが、様々なコンパクト業態、専門業態が登場するはずです。


業態の開発、見直しをする際の考え方として、いくつかのポイントをあげさせていただいました。
仕掛けだけで人が集まった時代は終焉を迎え、奇をてらわずに実のあるものが求められる時代だと改めて感じました。

機会がありましたら、カフェ、居酒屋、各国料理、地方料理などのカテゴリーでヒット業態を考察してみたいと思います。

(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

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2009年 -食のキーワード-

2009年1月 1日 18:51

2009年 -食のキーワード-

2008年は2007年に引き続き、食に関する様々な事件が明るみになり、より「食の安全安心」についての関心が強くなる中、消費沈滞も顕著になり、外食市場も大きな影響を受けました。
ただ「安全安心」というだけでは差別化は図れない、「安価」だけにこだわればいいのか?
2009年、どのようなキーワードが必要なのかについて、考えたいと思います。

食に対する不安感が増大した2008年

ここ数年で、食料を購入するお客さまが必ず見るようになった"産地""輸入国表示"ですが、2008年は、表示されていたことが事実と異なる、偽装が大変目立ちました。
最近のニュースでは老舗の菓子店で賞味期限切れの商品と同梱されていた、期限がまだ残っている商品を新しいものに組み替えて再出荷していたことが判明しました。
偽装に至る理由は様々でしたが、食に係わる仕事をしている人の良識について、世間が疑念を持ったことは確かで、真面目に真摯にものづくりをし、それを信用してお客さまに提供してきた方々にとっては、何とも迷惑な話です。
ですが、こうした社会的な不安感増大を受けて、生産者や加工業者、飲食業者が食の安全に対して強く意識をもったことは、怪我の功名と言えるかもしれません。
飲食店においても産地表示、生産者の顔、どのようにつくられたかなど、お客さまにプレゼンテーションをし、安心して召し上がっていただくことが珍しくなくなりました。

さて、「安心して」という意味ですが、高価で希少価値のある、ものすごくこだわり、手間をかけたもののことだけを指すのではありません。
正直に、品質をお客さまに伝え、納得していただくことが大切。不安というのは、「わからない」「嘘かもしれない」というところから生じます。
正直に真摯に商品、お客さまと向き合うをことが食を扱うものにとって、一番大切なことだと気づかされた、ここ数年の騒動だったのではないでしょうか。
"正直に""信頼してもらえる"は2009年、キーワードというより、当たり前に守らなくてはならないこととして捉えてください。


◆参考にご覧ください◆
平成18年度第2回安全・安心モニター調査結果について」(出展:農林水産省)

低価格の吸引力はまだまだ続く

100年に一度の経済恐慌と言われている昨今、消費者の消費意欲は減退し、「守り」の態勢はまだまだ続きます。やはり、低価格路線は2009年も強いキーワードとなるはず。
ただし、価格と価値を理解してもらわないと、それが本当にお得なのかどうかはわかりません。わかりやすい商品、業態の打ち出しも併せる必要があるわけです。
品質、ボリューム、希少性、季節性など特徴をもたせた商材づくりと、値打感のある価格づけが不況下での差別化のひとつのポイントと言えるでしょう。

食による"癒し""パワーアップ"

不況下では、ストレスも増えてくるもの。
低価格路線強しと二律背反するかもしれませんが、同じ商品と比較すると高くてもほかのものより断然安くて、贅沢気分が味わえるものなどは、2009年商材として魅力的だと思います。"たまの贅沢でストレス発散"にマッチする商材も注目すべきでしょう。
体や心を休め癒す、またはパワーを与えるといった食材や料理も求められてくるでしょう。


環境への配慮

企業や行政が思う以上に、環境への関心は一般の消費者の中で高まっていることにお気づきでしょうか。
食材をあますところなく使う、包材への配慮(なるべくごみとして少なくを意識した)、環境を汚染しないための配慮などについて、どのように取り組んでいるかもお客さまに見られているし、潜在的に評価もされています。
食べものを大切に、またそれらを育てる環境も大切にするという姿勢も食にまつわる仕事をしている限り、必要なことではないでしょうか。



食の安全安心は既にトレンドではなく、当然守るべき基本軸であり、また健康や美容についても食は切っても切れない要です。これらについては2008年の特集をご覧ください。
来月は「2009年 -ヒット業態考-」をテーマに、引き続き2009年を予測して参ります。

(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

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ワイン選びの視点

2008年9月 1日 18:49

ワイン選びの視点

すでにワインシーズンに向けて、ワインリストの見直しなどを進めていらっしゃるお店も多いのでは。
メーカーや酒販店から進められるあまたのリストから、どの視点やテーマでワインをセレクトしたらいいのか...
今回は、ちょっと頭を柔らかくして、様々な視点について考えてみたいと思います。

バラエティ フルラインに対応するバランスのよい品揃え

選択の幅の広さを訴求することもひとつの商品戦略です。ここでいう幅には、もちろん価格も含まれます。
飲み口や味の重さ、個性の強さなど、好みによって選べるような品揃え、そして、価格。
価格の幅ですが、ものすごく安価のものから、ヴィンテージクラスの超高級まで揃えろということではありません。あくまでも、自店の客単価とのバランスを考慮しながら最低価格、最高価格を決定し、その幅の中で、選択できるように揃えていきます。
この際、各価格帯に同数アイテムを...ではなく、売れ筋価格のボリュームは上げましょう。(中心価格帯)
ちなみに、日本人の特性として、ミドルクラスを選択する傾向があることは周知のとおり。ランチやコースのフードメニューでも、とりあえず"真ん中を選ぶ"のは中庸をよしとする日本人らしさなんでしょうか。
また、選ぶにあたっての分類テーマをメニューに記載すると、お客さまが選びやすくなります。"爽やかですっきりした白""しっかりとしたコクのある赤"や"スパイシーな料理にぴったりの白"など。
もちろん、自店の料理にマッチした選択基準は必要です。

料理 自店の料理に合わせた品揃え

まずは、自店の料理の分析を。
食材、味の傾向などを考え、それに合うテイストは?香りは?アルコール度数は?
試飲会の際に、ただ、ワインの試飲をするだけでなく、料理と一緒に味わってみましょう。思いもかけない発見があるかもしれません。
併せてシーンにも思いを馳せてみます。
大人数のパーティーや記念日のテーブル、日常使いで楽しまれるお客さまにお出しする各場面で何を召し上がり、どのワインが合うか。あったらいいか。家ワインも定着し、カジュアルになった感もあるワインですが、主に飲まれるお客さまは、ロマンティックだったり、スマートな雰囲気や演出を好まれる方(または特別な機会に飲まれること)がまだまだ多いと感じます。
その意味では、具体的なシーンを想像しやすいと言えるのではないでしょうか。
料理とシーンにぴったりのワイン。
指標が明確になると、セレクトもしやすくなります。

トレンド ワインもフードのうち

フードと同じく、ワインにもトレンドというものが存在します。
雑誌やネットなどでこうした情報にアンテナを張ると同時に、専門店などに足を運び、売り場の情報を得ることも大切です。
ただし、これらは参考として頭に入れるべきもので、そのまま取り入れるべきかどうかについては、当然、試飲が必要です。
さて、フードトレンドというより、食の絶対的なキーワードは近年"安全・安心"ですが、ワインについても口に入れるものなわけですから、同じニーズが顕著となり、自然派*1、有機などはワイントレンドでもひとつのカテゴリーとして確立されてきています。
産地や品種のトレンドは時期によって異なるものですが、上記は定番キーワードとして定着しそうです。
産地や作り手などにこだわった食材のフードを提供しながら、ワインは特に意識しないでセレクトしている、などということはないですよね?

*1 自然派:自然な農法で栽培させたブドウを自然な製法で仕上げたワイン。

提供方法 飲み方提案で差別化を図る

"グラスで気軽に飲める""週替わりで各国のワインが楽しめる""樽出しワインをお得なピッチャーで"など、提供方法に独自性をもたせ、他店との差別化を図ることもひとつの方向性として考えることができます。 サーバーの性能が向上したおかげで、複数のアイテムのグラス売りも可能となり、提供方法(飲み方)にも幅がでてきたのは飲む側としても嬉しいことではないでしょうか。 自店のコンセプトに合わせ、提供方法はどのような工夫ができるか、マッチするかも考えましょう。 また、見た目のバランスにも配慮したいもの。たまに、馴染まない風情で置かれたグラスを見ることがあります。カジュアルなお店であれば、機能性は必要ですが、ワイングラスも気取りすぎないものがよいでしょう。

ハウスワイン 店のこだわりを徹底訴求

ワインリストを考えるよりも難しいのが、ハウスワインのセレクトではないでしょうか。
「うん、美味しい」と多くの人に感じてもらうことはもちろん、店の味として印象的でなければならない。その上、お手頃な価格で提供しなければならないのですから。
「ハウスワインの美味しいお店で他のワインをオーダーしても外れなし」と思っているお客さまも多いでしょう。
ゆえに、このセレクトはとても重要。
料理の項であげたように、自店の味の傾向(特徴)にマッチしたものをじっくりと選びましょう。

ワインセレクトに悩んだら、ちょっと視点を切り替えてみると、探し方自体も変わるかもしれません。
実際には、ここにあげたようなテーマは単独ではなく、リンクして考えられていることです。同時進行で考えると、段々基軸がぼやけてしまうこともあるでしょう。
「うわぁ〜悩ましい!」と思ったら、一つ一つ個別に考えて、あとですり合わせをしてもよいのです。
まずは、考えを一度書きだしたり、現物を求めたり、見える形にすると、客観的な判断もしやすく、まとめやすくなります。お試しください。


(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

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和フード考

2008年7月 1日 18:47

ゼロからスタートしない開業 フランチャイズの魅力

「和食はカラダによい」ということで、和食を見直す動きが顕著ですが、そもそも和食の定義って?

ここ最近、和菓子や日本の家庭料理をベースにした料理屋、惣菜店などのご相談を受けるうちに、和食の定義ってそもそもなんだろう?と考えることが多くなりました。
「和食」を辞書で引くと"日本風の食事、日本料理"。じゃあ、「日本料理」って何ぞや、とさらに引くと"日本の風土で独自に発達した料理。季節感を重んじ、新鮮な魚介や野菜を用い、刺身や煮物・焼き物・汁物・寄せ物などに材料の持ち味を生かして調理し、強い香辛料をあまり使わない。器の種類や盛り付けにも工夫を凝らし、見た目の美しさを尊重する。和食。"(出展:大辞泉)とあります。
大雑把なイメージとしてパッと思い浮かぶのは、いわゆる料亭などで出されるようなものであるわけですが、ちょっと狭義な気がしてしょうがない。

海外日本食レストラン推奨制度

国内外から色々と反発を受け、当初「認証」予定だったものが、「推奨」となったこの制度。
認証や推奨をするのだから、当然、そのガイドラインたるものが存在するであろう、と早速調べてみることに。
が、議論はされているものの、明確でわかりやすい定義というものが見当たりません。
和食と日本食とは違うという意見まで... 定義するのは難しいって、どうやってガイドラインつくるんだ?
これでは、審査する人間の感覚によってしまうのではないでしょうか。
色々読み進めると、正しい日本文化の紹介を前提としていますが、日本産の食材を使用してもらうことが、大義みたいです。(正しい調理技術といったことももちろん含まれていますが)
まぁ、こちらは食材の輸出増などを含む、経済政策的な意味合いもあるので、こうした論調になるのでしょうね。
和食の定義、有識者をもってしても難題であります。

明治以降"激変"の日本の食生活

一般家庭で食が朝昼晩の3食となったのは、明治以降です。欧米渡来の新しい食材が入り、また、シチューなどの洋食が日本に紹介され始め、庶民の口にも入るようになります。食事に"栄養"という観念が出てくるのも明治以降だそう。
戦後、食糧事情が極めて悪くなった反動か、主食である米以外の副菜から栄養をといった風潮が起こるわけですが、ここでタンパク質や脂肪の摂取が高くなってきました。
それまでの日本の食事といえば、自作農作物、近海の海の幸、自生の山の幸が中心でしたが、輸入食材が一般家庭に流通するようになり、これまでになかった"メニュー"があまたつくられるようになったのです。
とんかつやカレーライス、肉じゃがなどの和食化した洋食もこうした激変期に生まれたもの。
元々、和食が洋食と融合させやすかったのも、急速に"洋"の取り入れが普及した要因とも考えられます。
伝統食といわゆる日本食、近代日本を境にまさに"激変"、ここが和食定義を難しくしているポイントであることは間違いないでしょう。

和食の定式"五味五色五法"

和食の定式に、"五味五色五法"というものがあります。
甘い・からい・苦い・酸っぱい・しょっぱいの五つの味を"五味"、赤・黄・青・白・黒の五つの色を"五色"、生(切る)・焼く・蒸す・揚げる・煮るの五つの調理方法を"五法"と言います。
これらは風水でお馴染みの、陰陽五行思想という中国の哲学に従って定義された、日本料理の定式です。
この定式に従い、地の自然な食材を使うことが、和食に欠かせないとされています。
会席料理を思い浮かべると、あぁ、なるほど...な感じですね。
中華料理好きな日本人が多いのは、同じ思想を起源に持つ料理に自然と馴染みを感じているからでしょうか。
しかし、和食を掘り下げすぎると、どうも庶民生活から離れていくような...

日本人の生活に馴染んだ"和"をどのように料理し、提供するか

ひとしきり悩んだところで、五味五色五法のほかに、"五適""五覚"というものを発見。
"五適"は、適温・適材・適量・適技・適心、「料理は適温で供し、食べる人にとって適当な素材を用い、適当な量、技法に凝り過ぎず、料理だけでなく玄関から部屋までもてなしの心でしつらえること」を言います。
"五覚"とは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五つの感覚、いわゆる五感ですね。
なんだか、和食の定義に影響を与えるキーワードの匂いが...
もちろん、前述の文化的な背景もベースにはありますが、「日本人らしさ」ということを軸に考えると、「四季折々の旬のものが出ると、食べたくなる=季節を意識する」「味だけでなく、歯ごたえや喉越しなど食感も大事」「どかんと大量にというよりは、少しずつ、色々なものを」「熱々の○○、キーンと冷えた○○」等々、"五適""五覚"は食のシーンにおいて、重要なファクターです。
食べ物だけでなく、盛り付けや器にいたる素材にも、とても敏感であることも日本人ならではでないでしょうか。
"五適""五覚"に関しては、いわゆる貴族文化ではなく、"日本"文化として生活に馴染んだものでしょう。

和をテーマとした業態、商品を開発するにあたり、洋食の和食化などにより、和の概念が捉えづらい昨今ですが、やはり、日本ならではの四季を意識した素材づかい、わかりやすい味つけ(技法に囚われすぎない調理方法)、彩りや食感、触感に配慮した繊細さ、細やかな心遣いが"和"の基本であることは間違いありません。

(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

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接客を見直す

2008年2月 7日 18:43

接客を見直す

飲食店にとって、料理・飲み物50:サービス50でひとつの商品といっても過言ではありません。お客さまに快適なひと時を過ごしていただくための"接客"とは...
スタッフの入替りの季節を前に、接客について考え、必要な準備をしておきましょう。

■接客サービスとは

お客さまの評価基準によって異なり、時や場所によっても異なります。また、形がなく見えにくい活動のため、提供する人間によって個人差が生じ、質の均質化がしにくいものでもあります。
非常に難しい気がしますが、基本は「お客さまの立場に立っておもてなしをし、お客さまに満足していただく」活動であると理解してください。

■本当にあったこんな話

ユニーク会員向けメルマガにて「サービス四方山話」をシリーズでお届けしております。
実際に筆者が見た、素敵なサービス、ギョッとしたサービスのお話。
こちらから、ちょっと抜粋...

先日、ある酒宴があって新宿の某鳥料理屋へ出向いたときのこと。
予約時間の少し前に到着すると、まだ誰も来ていない様子。
というより、19時だというのに、店自体がお迎えモードになっておらず準備中の風情。(いいことではありませんね)
ようやく料理長らしき人が「いらっしゃいませ」と出てきたのはよかったのですが、予約の旨を告げると

「今日の19時ですか?...予約は入っていないんですけど」
(台帳をパラパラとめくって確認をしている)
「ええっ???
○○(予約者の名前)で○名で予約してあると連絡があったのですが...」

店違いをしていたらまずいので、幹事に連絡を入れるも、予約時間のちょっと前、こちらに向っているようで携帯がつながらない。

「11日の19時では予約ないんですね?」
「入ってませんねぇ...」
「とりあえず、連絡とれたらまた来ます」

出ようとすると

「あっ、どっちにしても電話してもらえますか?」
(?何のために...?受け漏れしたかもとか思っているのか?)とは思いましたが、とにかく確認しないと遅刻かもしれません。
ようやく参加者の1人と連絡がとれたら、やはりお店は間違っていないとのこと。

ミステリー...

しばらくして、先のお店にもどると皆さん既に到着。

話を聞いたら、予約台帳の違う日付のページを見ていたとか。。。

間違いは仕方ありませんが、再度店に戻って来た私たちに、厨房から出てくるでもなく、「悪い悪い」程度の「すみませ〜ん」。
せっかく久しぶりの楽しいメンバーでの酒宴も出鼻から不愉快な気分。
何となく味までそっけなく感じる始末です。

あぁ、今思い出しても嫌な気分が... ちなみに、あれ以降、このお店には行っていません。
たった一人のスタッフの言動が店のイメージを台無しにしてしまうことがあります。
「また来たいね」と思ってもらえる店にするためには、スタッフ一人ひとりが、多くのお客さまに喜びと感動を与えられるサービスを身につける必要があります。
この例では
・まずは自分の方に間違いがないか、確かめる(日付も言われているのに思い込みでちゃんと見ていない)
・間違いは誰しもあるが、その場合は真摯な態度でお詫びする
のが正しい態度です。
きちんと謝られてもご立腹って方はいらっしゃいますが、丁寧にお詫びされれば大方のお客さまは、気分を直されます。
忙しいとか自分の担当ではないというのは、お客さまに対しては言い訳になりません。

■接客サービスの基本となる4つのポイント

接客サービスを教育するうえで、どの業種業態でも基本となる4つのポイントは、「最初の6秒で決まる"第一印象"」「挨拶」「言葉づかい」「表情と動作」です。

◇最初の6秒で決まる"第一印象
業種業態によって髪型や服装の基準は異なりますが、共通する基本原則は「清潔感」。
特に口に入れる食べ物を提供する飲食店において、非常に重要なことです。自店の身だしなみチェックリストを作成しておくと、新規スタッフ採用時など、スムーズにトレーニングさせることができます。

◇挨拶
毎日、お客さまをお迎えする飲食店にとって、とても大切なご挨拶。会う、別れる際だけでなく、一旦離れた後、お客さまに呼ばれた際のやりとりが始まる、終わる際のやりとりも含めた広義の挨拶としてとらえてください。
接客8大用語と言われる「いらっしゃいませ」「かしこまりました」「少々お待ちいただけますか」「大変お待たせいたしました」「失礼いたします」「申し訳ございません」「ありがとうございます」「またお越しくださいませ」に加え、「はい」という言葉を身につけさせ、適時つかえるようにする必要があります。

◇言葉づかい
言葉は普段使っているものが口をついて出るもの。昨今流行の短縮語や俗語をおかしいとは思わずにつかっている世代も多いなか、言葉づかいを教えるのが最も難しいことかもしれません。
慣用句についてはリストを与え、正しい言葉を覚えさせるという方法がよいでしょう。
あとは、実際に接客の場で、気長に正していくしかありません。
また、難しい謙譲語を無理に使おうとして、尊敬語とごちゃまぜになったおかしな言葉を聞く場面があります。
わかりやすい言葉で、丁寧に話せれば大丈夫です。

◇表情と動作
接客サービスの基本は「笑顔」です。仏頂面でサービスというのはおかしいですよね。
この笑顔も千差万別、本人は笑顔のつもりでも、知らない人が見たら無表情に見えたり...
ビッグチェーンのマ○ドナル○のメニューには「スマイル0円」とありますが、笑顔も商品という気持ちで、品質管理をしましょう。
自分で鏡を見ながら練習するだけでなく、他のスタッフに見てもらうことも必要です。
どうも、表情が硬くて...という人は、表情筋トレーニングが効果的です。

<表情筋トレーニング>
割り箸を前歯で挟むようにくわえて、「イーウー・イーウー」と30秒ほど繰り返すと、 頬の筋肉が引き締まり、すっきりした表情になります。
目をギュッとつぶって3秒間、パチッと開けるのを10回程度繰り返すと目元の表情が豊かに。どちらも1日1回でOK。

接客の基本動作は、落ち着いて静かにが基本です。パタパタ走ったり、大きな音を立てたりは禁物。
待機姿勢も意外とお客さまの目につきます。腕組みや後ろ手を組んだり、ポケットに手を突っ込んだりはNG。髪の毛をいじる癖のある人は要注意。食べ物を扱う場で、髪や顔をいじった手でサービスされるのは不快なものです。いつ呼ばれても直ちに応じられるように、正しい姿勢で待機します。

背筋を伸ばし、目線を真っすぐ、あごを引きます。両足のかかとをつけて、つま先をこぶし1つから2つ程度開き、手は軽く前で合わせましょう。

以上が接客サービスの基本となる4つのポイントです。
自店スタッフはきちんとこなせていますか?

■OJTとoff-JT

前出の接客サービスの基本などはoff-JTとして、複数のスタッフを集め、講義スタイルで演習をさせながらトレーニングすると効率よく教育ができるでしょう。
off-JTの利点は効率だけでなく、仕事に追われていない状態での教育ですから、考えさせる時間を十分あげられます。
なぜ、こうした態度はだめなのか、こうした言葉づかいが適しているのかなど、根本を理解させることは必要です。
人の真似だけでは、イレギュラーには対応できません。
とりあえず、現場に放り込んで他のスタッフを見ながらやれ!という店舗もあるようですが、トレーニング中だから失礼があってもしょうがないというのはお客さまには関係のないこと。
前出の例ではありませんが、致命的に失礼な対応をして、せっかくのお客さまが二度と来店しないということもあるのです。
最低限の礼節は教えてから現場に出すのが、それこそ礼節です。
OJT(具体的な仕事の場での教育)とoff-JT(仕事の場を離れての教育)を使い分け、スタッフ教育を進めてください。

■サービスの原点「ホスピタリティ」を持ち、プロとしてお客さまに接する

「サービス」とは、主従関係として、お金をお支払いいただくお客さまに義務的に、対価としてのサービスを提供するニュアンスがありますが、ホスピタリティとは、家庭でホストがお客さまであるゲストを心からおもてなしする、主従ではない関係です。
冒頭、お客さまの評価基準によって異なり、時や場所によっても異なります。また、形がなく見えにくい活動のため、提供する人間によって個人差が生じ、質の均質化がしにくいものと述べましたが、ホスピタリティ溢れる接客サービスを実現するには、お客さま一人ひとりがどのような状況であるか、何を求めているのかを、お客さまの立場に立って考えなくてはなりません。
これには高度なコミュニケーション能力が必要とされますが、まずは「思いやり」を持って接するということを教えましょう。
ホスピタリティという言葉よりも理解されやすいと思います。
そしてもう一つ、お店で働いている限り、接客サービスのプロとして見られている自覚を持たせることも重要です。



競争激化の飲食業界、商品はすぐに真似されることがありますが、接客サービスは一朝一夕で真似はできません。
他店との差別化、接客の面でも創意工夫し店の独自性をつくりだしてみてはいかがでしょうか。


(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

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2008年 食のキーワード

2008年1月 7日 18:40

2008年食のキーワード

「安全安心」「美容と健康」など、食のキーワードとして依然注目されています。2007年に多発した食に関する様々な事件により、一層関心を集めたといってもよいでしょう。
2008年、これらをどのように商品に取り入れていったらよいかを考察します。

安全安心の意味 そもそもは...

巷では、食品の安全安心とひとくくりにされていますが、平成17年2月に東京都食品安全審議会が出した「東京都食品安全推進計画の考え方について」での定義をご紹介したいと思います。

【 本答申における食品の「安全」と「安心」の使い分けの概念について 】
食品の安全性について、科学的な根拠に基づく評価が必ずしも都民に受け入れられないこともある。食品に対する都民の安心感は、個人の主観であり、行政や事業者への信頼度などにより、それぞれに異なった判断基準がある。
したがって、食品の安全と都民の安心の関係を一律に表現することは困難であるが、本答申を検討するうえでは、この概念について整理をしておく必要があると考える。
そこで、本答申では、食品にはリスクが潜在することを前提に、最新の科学的知見に基づいた対策が講じられ、健康への悪影響の可能性が最小限となっている状態を「安全」という概念で整理した。また、食品にリスクが潜在することや、安全確保に向けた様々な取組がなされ、健康への悪影響の可能性が最小限となっていることに関して、都民が充分に情報を得ることがき、不安や疑問が解消され、事業者や行政の取組に対して多くの都民の信頼が醸成されている状況を「安心」という概念とした。

すなわち、
食品の安全...健康への悪影響の可能性が最小限となっている状態
食品の安心...不安や疑問が解消され、消費者の信頼が醸成されている状況
ということ。

消費者が求めているのは、提供する側が「安全(大丈夫)ですからどうぞ」というものではなく、安心して自分も家族も食べられるものだと信じられるものと理解するべきでしょう。

飲食店では「安心して召し上がっていただける」商品をお出しし続ける、バックヤードでの努力が必要です。
一度でも裏切ったら、消費者の信頼を再度獲得することは非常に困難だということを肝に銘じ、真摯に取り組んでいかなければなりません。
Point!
・素材の選定(適時チェック)
・適切な保存方法の採用
・徹底した衛生管理
・食品の安全に関する情報の収集

農林水産省の消費・安全局サイトには食品の安全に関する様々な情報がタイムリーに掲載されていますので、ご参照ください。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/index.html

健康志向のとらえ方

男女とも30代を過ぎると「メタボが...」と必ず話題にのぼるぐらい、メタボリック症候群という言葉が浸透し、市場にはメタボ対策の機能性食品が氾濫しています。チェーン店のメニューもカロリーや塩分表記が一般的になり、最近はアレルギー表示もちらほらみかけられるようになってきました。
こうした外食店やサプリメントや栄養バランス食品などがズラリと並んだスーパーやコンビニエンスストアを見ると、「健康」を過剰に意識しすぎて、逆に不健康なのでは...とも感じることがたまにあります。
実際に本当に健康的な生活をしていたら、適度な運動にバランスのよい食事、快眠で十分なはずで、こうしたもののごやっかいにはならないはずですから。
本来の健康とは微妙に違うことを考えると、「健康的」であることが重要かと思われます。「的」であることです。
ダイエットする人間が普通コー○は飲みません。が、ダイエット・コー○を買うわけです。
言わんとすることがわかっていただけますでしょうか。

Point!
・素材が安心できるものであることは当然
・美味しさの中に体によさそうだと感じられるフックをもたせる
・漠然とした機能よりも具体的な機能 例)×体にいい ○お肌プルプル・体ポカポカ・悪玉コレステロール撃退
・女性にはローカロリーは魅惑の言葉→でも美味しく→ポーションの工夫・ローカロリー食材との組み合わせで総カロリーコントロール
 
<健康志向食品が機能するとされる分野・成分>
滋養・強壮、美肌効果、整腸効果、ダイエット、生活習慣病予防、免疫賦活作用、栄養バランス、骨強化、貧血予防・改善、覚醒効果、のどの不快感除去、虫歯予防、口臭予防、視覚改善作用、マルチバランス

お客さまにどのように伝えるか

◇ 安全性
既にみなさんも実行されていると思いますが、産地表示や生産者表示をメニューやPOPで行うのもひとつの手です。また、メニュー巻頭、お店のホームページやリーフレットなどに、食材についてどのようにこだわっているのかのメッセージを入れるのもよいでしょう。
セールストークで商品をおすすめする際に、素材についてもご説明できればなおよし。
食の安心は、お客さまとのコミュニケーションの中で築かれた信頼そのものと言えるでしょう。
ただ、お出しするだけではなかなか伝わりにくいものなのです。
*外食の産地表示ガイドライン:http://www.maff.go.jp/gaisyoku/index.html

◇ カロリー・機能性・効能など健康への配慮
商品全部に○○によい○○○○といったネーミングをする必要はありません。
思い切り真ん中直球は中食とスーパーやコンビニなどではありですが、外食では他人の目もあり、痩せたい!内臓脂肪を落とすんだ!便秘がちで...といったことをあまり堂々と公言したいわけではありません。
メニューのキャプションにさりげなく「○○に効果があるといわれる○○をふんだんに使用」「○○に効果あり?」などと語る程度がよいでしょう。
あくまでもお客さまがメニューを選ぶ際のちょっとした指標となる程度の情報。「あれ?意外にカロリーが抑え目だわ」「風邪をひきそうなときにはこれいいかも...」と気づいていただければOK。
調理方法自体では、やはり油っこさや塩っ辛さによって、「ヘルシー」さ加減というものが図られる傾向にあるので、使用量などには配慮が必要です。

2007年は食品メーカーの使用食材詐称事件から始まり、名門料理店や有名菓子店などの賞味期限詐称など、何を信じてものを買えばいいんだろう...と消費者が思わざるを得ない食の事件が多発しました。
消費者の不安感は少なからず、外食市場にも影響してきています。
「人の振り見て我が振りなおせ」 今一度、安心してお客さまに商品をお出しできているか、見直す機会かもしれません。


(文/プランニング・コンサルタント 佐藤朋子)

マネジメント考 -閑散期にすべきこと-

2007年8月 7日 18:34

閑散期に入ると、とかく集客が、売上が、人件費率さげなくちゃ...と目先のことに頭がいってしまいがちですが、閑散期だからすべきことというのは結構あるのです。一年間を計画的に運営していくうえで閑散期に何をするか、するべきなのか。

店舗のマネジメントはヒト・モノ・コト・カネの管理です。
管理というと"受け"の印象が強いかもしれません。あがってきた数字をとりまとめて多い少ないをチェックしたり、無断欠勤者が出てからヒトの手当をして、欠勤者の言い分を聞き...
しかしこれでは先手を打つことはできません。
店舗における本来の意味のマネジメントは"操作""やりくり"です。
定めた目標に向い、"段取り"をし、"結果"を出していく、諸々の過程がマネジメントにあたります。
今回は「閑散期や新しいシーズン前にすべきこと」にスポットを当ててお話します。

飲食店におけるヒトの管理は"商品"管理に同じ
飲食店はサービス業です。スタッフの品質は商品の品質に同じ。一定の品質をもってお客さまにサービスを提供していくことはとても大切ですし、一番難しいことでもあります。
相手は人間、コンピューターのようにプログラムすればそのとおりに動く代物ではありません。
コミュニケーションの場づくりを考えましょう。
ここで言うコミュニケーションの場とは単に親睦会を開けということではありません。
オンの場(仕事を意識した環境下)で、お店や管理手法、商品やサービスなどについてP/A(パート・アルバイト)から意見を聞き、お店の運営に対する参加意欲を高めたり、潜在トラブルを引き出すことは非常に有用です。
手法としては「スタッフミーティング」(会議スタイル)、「カウンセリング」(個別相談)の2種があげられます。
定期的にスタッフミーティングを開き、適時カウンセリングを行っていくという方法が一般的でしょうか。
こうしたミーティングなどを開く場合、マネジメント側は事前に現状把握をしておくのは当然のことです。たまにフラッと見に来るだけのお客さまより来店頻度の低い経営者が意見統制はできません。
常日頃の目配り、コミュニケーションの機会創出、スタッフモチベーションのコントロール、具体的なテーマ指示はヒトをマネジメントするための基本です。
お出ししているフードやドリンクの品質を気にするのと同じように、スタッフにも目と気を配りましょう。
前出でコミュニケーション=親睦会を開けということではないと記述しましたが、レクリエーションは職場の雰囲気づくりに無用ということではありません。社会人になるとイベントなどからも足が遠のくもの。節目づくりには有効ですので運営カレンダーに入れてみてはいかがでしょう。

数字が語るあなたのお店の現状

コンサルティングを始める前に「1日の客数、お昼は?夜は?」「平日日商平均は?土日祝は?」「最も日商の高い曜日は?」「昼夜別の平均客単価は?」「ピークタイムは?」「一番出るフードは?ドリンクは?それぞれ平均でどのくらいでますか?」と伺います。
往々にして繁盛されている店舗ではすぐに数値で返答があり、不振店ではぼちぼち、そこそこ、結構多いなど、明快な答えをいただけないことが多いものです。
経営数値に疎いということは、マネジメント能力が低いということ。
人件費などを考えるとランチをしないほうがよいお店というのもあります。ランチで味を知ってもらい、夜につなげるという考え方はありますが、実際にそうした思惑と反した結果になっている場合も少なくありません。
また、当初考えていた原価率、原価の高い商品が出数上位を占め、結果、想定原価よりもアップしてしまっていることもあります。単純に出数だけみていれば「売れてて結構」ですが、コストコントロールもせずに放置していれば、交渉や商品ブラッシュアップで得られる利益をみすみす垂れ流している状況が続きます。
数字ばかりに固執する必要はありませんが、最低限の数字管理はマネジメント側として当然の職務。
売上はもちろんですが、初期投資、回収状況、ランニングでかかる費用、損益分岐点、原価、人件費、光熱水費など、数値に関してルーズでは経営は継続できないのが飲食業界です。
以下、サイクル別の管理項目です。

◆デイリー(毎日)

・売上高
・客数
・客単価
・上記時間帯別数値
・小口現金
・人件費
・原材料費
・現金・金券・クレジット
Point!
☆変化に気付き早めの対処
☆時間帯別の利用動向を知る

◆ウィークリー(毎週)

・デイリーの集計
Point!
☆バラつきや偏りを分析、曜日対策を検討
☆生鮮系の高騰などへの対処

◆マンスリー(毎月)

・デイリー・ウィークリーの集計
・前月との差異
Point!
☆次月運営計画への反映
☆経営効率を分析、改善項目の抽出と対処

◆クォーター(四半期間)

・マンスリーの集計
・施策効果測定
Point!
☆施策の効果は3ヶ月から半年で表れる
☆シーズン対策へ反映

◆ハーフ(半期間)

・マンスリー・クォーターの集計
・年間計画との差異
Point!
☆初期投資の回収状況など経営に関する諸事項をチェック
☆残半期における諸計画の見直し

◆イアリー(年間)

・クォーター集計
Point!
☆経営効率を分析、改善項目の抽出と対処
☆次年度計画への反映


こうした数字を整理するのにはパソコンが強い味方になります。「日報は手で書いたほうが早い!」と考えている方も大勢いらっしゃるかもしれませんが、これだけの数字の集計作業はやはりパソコンを使ったほうが断然スピーディー。
集計作業で時間をくわれるなら、その分、アクトプラン(具体的な行動計画)立案やヒトの管理にタイムシフティングしたほうがよいでしょう。

外を見て視野を広げる"近視になっていませんか?"
お店に入ってしまうと、店の内部に目がいきがちで、他のお店に行ったり、情報を得るための時間をとることを忘れがちです。
近隣競合店や今話題のお店、"百聞は一見にしかず"足を運んでみましょう。
また、同業種、業態以外でも巷で話題になっていることには必ず時代に求められる何かが潜んでいます。
「関係ないし、興味もない」で情報を遮断していると、いつか時代に求められない店になってしまうかもしれません。
飲食業界に限らずどんな業界で仕事をしていても、視野を広げ、アンテナを高くしておくことは必要です。
特に、飲食は流行り廃りの早い商売。時代のニーズにはいつでも敏感であらねばなりません。
近視・中視・遠視、様々な距離から自店、他店を眺め、いつでも視野良好状態にしておきましょう。
こうしたことをしたくとも、繁忙期にはなかなか時間がとれないものです。時間がとれるときにぜひやっておきたいですね。

夢の店づくり、美味しいものをお客さまに提供し、喜んでもらいたい!と始めた商売。毎日のサービスに追われマネジメントは後回しになりがちです。
昔読んだものの本には、できればマネジメントとものづくりとは担当を分けて行うことが望ましい=二本柱で切り盛りすべしとありました。戦国大名と参謀みたいな関係でしょうか。
資本投下がそれなりにできる企業であれば可能なお話ですが、個人店ではやはり一人二役でやらなければならない状況のほうが多勢だと思います。
今回お話した内容、時間があるときに「自店であればどのようにできるか」についてお考えください。
マネジメントはできるだけ手抜き、簡略化をモットーにして差し支えありません。逆に面倒くさがり屋のほうが向いているかもしれません。パソコンやフォームなど道具を駆使すれば時間や手間をかけずにできるのですから。
ノウハウ本もたくさん出版されていますし、本サイトの"お役立ちフォーム"には店舗で使える様々なアイテムがあります。これらをぜひご利用ください。

(文/佐藤朋子)

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